TOPへ

男性泌尿器科

このような症状をお持ちの方へ

トイレに関する症状

  • 以前よりもトイレの回数が増えた
  • 直前にトイレに行ったのにまた行きたくなる
  • 夜間に何度もトイレに行く
  • 外出時にトイレの場所を把握しておきたい
  • トイレをなかなか我慢できない

排尿時に関する症状

  • 尿を出したのに残っている感じがする
  • 尿意のコントロールができない
  • 尿を出し切るのに時間がかかる
  • 尿の勢いが弱い
  • 尿の色が濃い
  • 排尿時に痛みがある
  • 血尿が出る
  • 尿道から膿のようなものが出た
  • 背中が痛む
  • 下腹部や陰嚢が痛む

主な疾患

前立腺疾患

前立腺肥大症

前立腺肥大症

前立腺肥大症は、前立腺が大きくなることで尿路を圧迫し、排尿に影響を及ぼす病気です。主な症状は、排尿に時間がかかる、頻尿、排尿中に尿が途切れる、尿が出にくくなる、突然の強い尿意、尿漏れ、残尿感などです。前立腺肥大症の治療法には、薬物療法や手術があります。

詳しくはこちら

前立腺がん

前立腺がんは中高年の男性に多く発症し、特に50歳以上での発症リスクが高まります。早期発見のためにはPSA(前立腺特異抗原)検査が有用であり、定期的な健康診断や人間ドックで受けることが推奨されています。

前立腺癌は日本では年間9万人以上が新たに診断されており男性では一番多い癌とされています。年齢と共に前立腺癌の罹患率は上昇していきますが、80歳を超えた男性の2ー3割程度が前立腺癌に罹患しているという報告もあります。一方で前立腺癌の多くはゆっくり進行する特徴を持っており、前立腺癌による死亡率は他の癌腫と比べて低いです。つまり適切に診断・治療などのマネージメントを行えば日常生活の質を維持しながら長く生きることができるのが前立腺癌の特徴です。
前立腺癌のリスクが高い人の特徴は現状で分かっているのは以下の通りです。

  • 加齢
  • 家族歴:父や兄が前立腺癌だとリスクが2倍になります。
    2人以上いるとリスクは4倍にあがります
  • 遺伝子変異:乳癌や卵巣癌などで知られている遺伝子変異BRCA1とBRCA2変異が前立腺癌リスクも上げます。
  • アフリカ系の民族
  • 喫煙
  • メタボリック症候群と肥満
症状

前立腺は男性のみにあり、栗のような形と大きさをした臓器になります。前立腺癌の早期の場合には症状がないことが多いです。前立腺肥大症と同じく年齢が進むほど頻度が上がってきます。頻尿や尿の出が悪い、残尿感などの前立腺肥大症の症状で病院を受診して精密検査を行うと前立腺癌が見つかることがあります。また前立腺癌が進行して大きくなると尿道を圧迫して前立腺肥大症と同様の症状(頻尿や尿の出が悪い、残尿感)が出てきます。さらに進行して骨転移がでてくると肩や背中、腰などの骨に痛みがでてきます。ですので腰痛で整形外科を受診したら骨転移が見つかって進行した前立腺癌がみつかることがしばしばあります。

検査

前立腺癌の進行の指標としてPSAが一般的に良く用いられています。PSAの上昇は前立腺癌のリスクとその後の進行と強く関連しているとされています。
PSAは前立腺上皮細胞から分泌されるプロテアーゼ酵素で精液を液体の状態に保つのに役立ちます。PSAが上昇する要因として前立腺癌以外にも前立腺肥大症、物理的な圧迫、射精、前立腺炎などがあります。
たとえばPSAが4-10ng/mLの場合、癌が検出される確率は2-3割程度とされています。
PSAのスクリーニング検査(検診)をどの程度行えばよいのかについては議論があるところですが年齢やリスクに応じて変わってきます。
若い年齢で前立腺癌になることはまれであること、80歳以上などの高齢ではあえて前立腺癌を見つける必要がないことから通常であれば45歳から75歳の間くらいに検診を行ったほうがよいです。
たとえばPSA<1ng/mlの場合、2-4年おきフォロー、PSA 1-3ng/mlの場合1-2年おきフォローになります。
PSAの正常値ですが一般的には4ng/mLとされていますが、年齢と共に上昇していきますので80歳でPSA 4ng/mlを超えていることは珍しくありませんが、40歳でPSA 2とか3ng/mLですと高いです。ですので年齢別に正常値を変える、より細かい分類を使うことがあります。

  • 40~49歳の男性 < 2.5 ng/ml
  • 50~59歳の男性 < 3.5 ng/ml
  • 60~69歳の男性 < 4.5 ng/ml
  • 70~79歳の男性 < 6.5 ng/ml

前立腺癌の診断を行うためには前立腺針生検を行います。前立腺に針を刺して組織を採取して、顕微鏡でみて癌がいるかどうかを判定する検査です。
前立腺生検とあわせて前立腺のMRI検査を行う事で癌の診断精度をあげることができます。MRIで前立腺の細かい画像を見ることによって、前立腺の中に癌がはっきり映っているのか、癌の広がりはどの程度か(内部にとどまっているか、または外に飛び出しているか)が分かります。

PSA値、直腸診での所見、MRI画像から前立腺癌の可能性が高い場合には前立腺生検を行います。やり方は砕石位というお産のときの体位になり(仰向けで足を開いた状態)肛門から超音波を挿入して前立腺を画像でチェックします。画像を見ながら生検針を12本程度刺して組織を採取します。検査自体は20-30分程度で終わりますが検査の合併症として出血症状(直腸出血、血尿)や発熱(前立腺炎や精巣上体炎)、排尿障害などがないかどうか観察するために1泊入院することが多いです。

ステージ

転移がない前立腺癌は癌の広がり具合(T分類)、癌の悪性度(グリソンスコア Gleason score)、PSA値を使って低リスク、中リスク、高リスクに分類されます。
例えばNCCNリスク分類では

  • 低リスク:T1-2a、グリソンスコア6以下、PSA10未満
  • 中間リスク:T2b-2c、グリソンスコア7、またはPSA10-20
  • 高リスク:T3a、グリソンスコア8-10またはSPA20以上

の3つに分類されています。

治療選択

前立腺癌の治療法は現状で数多くあり、どの治療が最適なのかはリスク分類、年齢や全身状態、併存疾患、期待余命、患者さんの考え方を基に決めていくことになりますが、主な根治的な治療法としては手術と放射線治療があります。

手術

前立腺全摘除術。最近はロボット手術で行われることがほとんどで体に負担の少ない低侵襲な治療とされています。特徴的な合併症として術後の尿もれと勃起障害があります。
比較的若く、全身状態が良好な場合適応になります。

放射線治療

前立腺に放射線を放出する物質を密封したものを埋め込む組織内照射という方法と体の外から照射する体外照射があります。手術とくらべると体への負担はすくないですが、急性期の副作用として頻尿や排尿時痛があり、長期的な副作用として5%程度で出血症状(血尿、直腸出血)があります。治りにくいのが特徴です。

PSA監視療法(アクティブサーベイランス、無治療経過観察)

治療をせずに経過をしばらく観察するという方法もあります。前立腺癌は進行がゆっくりなことが多いため低リスクや中間リスクで、手術や放射線治療に伴う合併症を避けたいという場合にはPSA監視療法が選択されます。3カ月おきにPSAをチェックして病勢の進行があった時点で治療を行います。これにより治療に伴う患者さんのストレス、生活の質の低下を防ぐことができますので現在では有力な選択肢のひとつになっています。

治療後フォロー

前立腺全摘後
手術後は基本的にはPSAはほぼ0になります。3カ月おき程度でPSAをフォローしていきます。PSAの値が2回連続で上昇し、PSAが0.2ng/mLを超えたところで生化学的再発と診断して次の治療を開始することが多いです。次の治療としては救済放射線照射やホルモン療法があります。

放射線照射後

放射線治療後のPSAは0まで下がらないことが手術と異なる点になります。PSAが徐々にあがってきて最低値のPSAから2ng/mL上昇した時点で生化学的再発と診断することが多いです。生化学的再発(PSA再発)後の治療としてはホルモン療法が選択されることがほとんどです。

急性前立腺炎

急性前立腺炎は前立腺が細菌に感染することで炎症が生じる病気です。通常前立腺肥大症と合併します。原因としては外(尿道)から前立腺に細菌(大腸菌)が侵入してくることが多いです。急性前立腺炎の主な症状には、発熱、排尿時の痛み、頻尿、排尿困難などがあります。
診察では尿検査や直腸診を行い、感染の有無や前立腺の状態を確認します。典型的な所見として直腸診で前立腺にあきらかな熱感を感じることができます。また前立腺が炎症によってむくむため尿が出にくくなり場合によっては尿が出せなくなりお腹が張って苦しい状態(尿閉)になることがあります。その場合には尿道カテーテルという管を尿道から膀胱にいれた方がよいです。治療には抗生物質の内服や点滴がありますが、糖尿病などの基礎疾患をお持ちの場合には重症化して命にかかわることがありますので速やかな診断と治療、場合によっては入院が必要となることもあります。
前立腺肥大症によりもともと尿の流れが悪いことによって外部から細菌が侵入しやすくなるという原因が多いため再発しやすいです。そのほかに淋菌やクラミジアなどの性感染症が原因で起きることもあります。原因を特定して、適切な治療を受けることが重要です。

慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群

慢性前立腺炎は、ストレスなどが原因となって発症します。また、急性前立腺炎が慢性化することもありますが必ずしも細菌感染による炎症というわけではありません中高年層に多い前立腺疾患の中では、20~40歳代の若い年齢層でも見られます。主な症状は、会陰部や下腹部、尿道、股間、睾丸、陰茎などの痛みや不快感、頻尿、残尿感、排尿痛、射精時の痛みなどです。症状や尿検査の結果から抗生剤で治療を開始することが多いですが、なかなか改善しないという場合に慢性前立腺炎を疑います。症状はさまざまで骨盤内のあらゆる不快な症状が含まれます。現状では慢性前立腺炎の原因ははっきり特定されていませんが前立腺への血流障害、骨盤の感覚神経の異常、性ホルモンや副腎ホルモンの異常などが指摘されています。
慢性前立腺炎には根本的な治療法が存在しないため、薬物療法により炎症を抑えることが基本的な治療方針です。また、薬物治療だけでなく、生活習慣の改善(禁煙、飲酒を控える、ストレス管理)も大切です。そのほかにデスクワークで長時間座った状態でいる事や自転車のサドルの上に座った状態で会陰部が圧迫されることで症状が悪化すると言われています。

血尿

血尿

血尿には「肉眼的血尿」と「顕微鏡的血尿」の2つのタイプがあります。
肉眼的血尿は目視で尿中に血液が混じっていることが確認できます。痛みが伴う場合、膀胱炎や尿路結石症などが考えられます。顕微鏡的血尿は、尿潜血検査で発見され、肉眼では見えません。痛みがない場合、悪性腫瘍(膀胱がん、腎臓がん、前立腺がん)などが疑われます。尿潜血検査で陽性反応が出た場合、尿路の炎症、結石、尿路悪性腫瘍などの可能性があると考える必要があります。

詳しくはこちら

膀胱がん

膀胱がんは、50歳以上に多く見られる疾患です。年齢とともに膀胱癌になる可能性は高くなっていきます。男性の方が女性よりも膀胱がんのリスクは3-5倍程度と高いです。
膀胱内の粘膜である尿路上皮で発生することが一般的で、大まかに「筋層非浸潤がん」と「筋層浸潤がん」に分類されます。
筋層非浸潤がんは、がん細胞が膀胱内の粘膜に局所的に発生している状態です。悪性度が比較的低く、転移リスクが低い傾向があります。筋層浸潤がんはがん細胞が膀胱の粘膜から筋層(膀胱の壁)の外側に進行している状態です。悪性度が高く、転移しやすいとされています。
膀胱がんの診断には、超音波検査、膀胱鏡検査、尿細胞診などが必要です。これらの検査結果に基づいて、最終的な診断と治療方針を決定します。

精巣がん

精巣がんは、男性の陰嚢内にある精巣(睾丸)に発生するがんで、非常に稀な疾患です。発症率は10万人に1人程度で、特に40歳以下の若い男性に多く見られ、20~30歳代が発症のピークとされています。このがんは通常、痛みや発熱などの明確な症状を伴わずに進行するため、発見が難しいことがあります。精巣の腫瘍が大きくなって明らかに陰嚢の形がおかしいとか、大きな陰嚢が股にこすれて痛いなどの症状がでてから気づいて病院を受診することもしばしばあります。そのような場合には速やかに精巣を摘出する必要があります。
左右の精巣のサイズに差がある、精巣が腫れている、精巣の硬さに変化があるなどの症状が見られた際は、速やかに医療機関で診察を受けることが大切です。精巣がんは早期に発見されれば、予後が良好で治療成功の可能性が高いがんの1つです。初診時に大きな精巣の腫瘍があり、肺やリンパ節など他の臓器に転移があったとしてもしっかりと抗がん剤治療を行えば根治が見込める数少ない癌とされています。陰嚢は自分でも触ることができ精巣の形も容易にわかりますので日常的に自分の精巣の形をチェックすることが早期発見早期治療につながります。精巣癌のタイプには主に2つに分かれておりセミノーマ(seminoma)とノンセミノーマ(non-seminoma)になります。セミノーマの方が頻度が高くまた予後も良好とされています。ノンセミノーマの場合には高位精巣摘除術を行った後にも追加で抗がん剤治療が必要になることが多いです。よく知られている腫瘍マーカーとしてAFP、hCG、LDHがあります。

腎臓がん

腎臓は、体内で非常に重要な役割を果たす臓器であり、血液をろ過して余分な物質や老廃物を排泄し、尿を生成します。その他にも、造血、血圧調整、骨の生成など、さまざまな生理機能に関与しています。腎臓はソラマメに似た形をしており、通常は左右の両方が存在します。
腎臓がんは、腎臓の組織で発生するがんであり、特に男性に多く見られます。また、透析治療を受けている方は発症する頻度が高いとされています。腎臓がんは主に40歳から70歳代の間に発症することが一般的ですが、若い年齢層でも発症することがあります。男性のほうが女性の2倍程度罹患する可能性があります。
腎臓がんの早期段階では症状がほとんど現れないことが多く、自覚症状がほとんどないことが特徴です。しかし、進行すると肉眼的な血尿、腹部の腫瘤(しこり)や腫れ、腹部の痛みなどが現れることがあります。最近は健康診断や人間ドックでエコー、CTなどを行うことが増えているため症状が出る前の早期がんの段階で見つけられることが多くなっています。

尿路結石症(尿管結石、腎結石、膀胱結石)

尿管結石症および腎結石症は、尿の中に含まれる物質が固まってできる結石のことで、その正体はシュウ酸カルシウムや尿酸などの結晶です。この結石がどの部位にできるかによって、腎結石、尿管結石、膀胱結石と分類されます。胆嚢にできる胆石とは別のプロセスによって形成されるため、尿路結石症とは異なる疾患です。遺伝的に尿路結石ができやすいシスチン尿症、原発性高シュウ酸尿症、腎尿細管性アシドーシスなどありますが、多くの場合は、生活習慣によるものになります。水分摂取量がすくないために尿が濃縮されることや動物性たんぱく質の取りすぎ、シュウ酸の過剰摂取、プリン体の過剰摂取、カルシウムの不足などが原因となります。尿路結石のほとんどはシュウ酸カルシウム結石になりますがプリン体の過剰摂取により起きる場合は尿酸結石となります。遺伝的な原因、生活習慣による原因、いずれであっても原因が改善されることは少ないため尿路結石は再発をくりかえすことが多いです。痛みを和らげ、結石の成長や新しい結石の形成を防ぐための薬物療法を行います。この治療法は、結石が小さく、自然に排石される可能性が高い場合に選択します。
小さな結石の場合、排尿とともに結石が自然に体外に排出されるのを待つ方法もありますが結石のサイズが大きい場合や排石が難しい場合、結石を砕く「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」や「経尿道的尿管砕石術(TUL)」を検討します。5㎜未満の結石の場合、自然排石率は68%、5-10㎜の結石では47%とされています。排石されるまでの期間はケースバイケースになりますが数カ月たっても自然排石しない場合には破砕の治療が必要になります。ESWLは体外から衝撃はをあてて結石を破砕する治療で低侵襲ではありますが、硬い結石の場合にはなかなか破砕できず何度も繰り返してESWLを行うことがあります。一方でTULは全身麻酔や腰椎麻酔などしっかりと麻酔をかけて手術室で行う治療になります。数日間の入院が必要になりますが実際に画面で結石を確認して直接レーザーで破砕するため破砕の効率は高いとされています。
結石の治療において大切なことは再発リスクを軽減することにあります。原因を特定してその原因に対する治療をおこなうことが重要です。食生活などの生活習慣が原因であれば、

  1. 尿量が2-2.5L/日程度になるように水分摂取量を増やす
  2. シュウ酸カルシウム結石の場合は
    ナトリウム摂取量(塩分)をへらす
    カルシウムは十分に摂取する(1000-1200mg/日)
    動物性たんぱく質の摂取をへらす
  3. 尿酸結石の場合は
    尿のpHを上げる(アルカリ性)ためにクエン酸カリウムを補充
    プリン体の摂取を控えて尿酸値を下げる

膀胱結石は原因が異なり、排尿障害が原因となっていることがほとんどです。前立腺肥大症、神経因性膀胱や尿道狭窄により、尿のでがわるく残尿が常に膀胱内にたまっている状態がつづくと、尿がうっ滞して膀胱内に結石ができやすくなります。カルシウム結石が多いですが、細菌感染の影響が強い場合にはリン酸マグネシウム・アンモニウム結石という特殊な結石であることもあります。膀胱結石は見つかった時点で1-2cmくらいに成長していることが多いため手術での破砕したほうがよいです。

尿路感染症(膀胱炎・尿道炎)

尿路感染症は、尿の通り道に細菌が侵入し、感染が起きて炎症が生じる疾患です。感染が発生した部位によって、いくつかの異なる種類に分類されます。
排尿痛、頻尿、尿の白濁、血尿、腹部の不快感、高熱、腰痛、悪寒、嘔吐などの症状が現れた場合は、前立腺炎、膀胱炎、尿道炎といった尿路感染症の可能性があるため、なるべく早くご相談ください。外からのばい菌の侵入によることが多いため女性の場合は膀胱炎、男性は尿道炎や前立腺炎が多く見られます。男性の尿道炎の原因の多くは性感染症(淋菌・クラミジア)になります。

神経因性膀胱・過活動膀胱

神経因性膀胱および過活動膀胱は、尿の制御に関する問題を示す状態です。排尿筋の過活動や活動低下(過活動膀胱または低活動膀胱)、排尿筋・括約筋の協調不全があります。神経因性膀胱では、正確な尿の貯蔵と排出の信号が損なわれ、上位型と下位型の二つに分かれます。上位型は痙性神経因性膀胱で、膀胱が過敏に反応し、頻尿や尿失禁が現れます。脊髄損傷、脳卒中、多発性硬化症などの中枢神経に異常がある場合に膀胱への神経支配が効かなくなり膀胱が自律的に動くことによっておきる症状です。
下位型は弛緩性神経因性膀胱で、膀胱を直接支配している神経のはたらきが弱ることによって膀胱が収縮しにくくなります。膀胱が伸びきり、尿意を感じにくくなり、尿閉や溢流性尿失禁が起こります。この状態で放置していると腎不全、尿路感染および敗血症を起こす可能性があがります。

一方で、過活動膀胱(OAB)は通常の膀胱が異常な興奮を示す状態で、頻尿や強い尿意が特徴です。これは異常な膀胱筋の興奮に起因します。原因には加齢、感染症、神経障害などが含まれます。具体的には、そんなに尿がたまっていないのに、急に尿意が出てきて、我慢できなくなる。トイレにたどり着く前にもれてしまうということもあります(切迫性尿失禁)。とくに水の音を効いた時、冷たいものに触れた時に尿意を感じることが多いです。

膀胱は、神経によってコントロールされていて尿がたまって膀胱が伸びてきたら、尿がたまってきたという信号が脳につたわります。で今はおしっこしちゃだめだよという指令が脳からきたらぎゅっと尿道括約筋の筋肉を締めて我慢したり、トイレに入ったときには筋肉をゆるめて排尿したりという感じでコントロールしています。この調整がうまくいかなくなると様々な排尿症状が出てきます。過活動膀胱の原因には

  1. 脳梗塞や脳出血などの脳の病気をした場合にい神経のコントロールができなくなる
  2. 前立腺肥大がある場合(男性)、骨盤臓器脱によって膀胱の形が変形したことによる(女性)
  3. 外部の環境によるもの(水の音、寒さ、湿気)がありますが原因がよくわからない、特定できないということも多いです。

過活動膀胱は日常生活での生活習慣を改善するだけで症状がよくなることがあります。症状を悪化させる要因として、肥満・運動不足、刺激物(タバコ、炭酸飲料、カフェイン、アルコール)、便秘があります。これらの習慣を改善することや飲水量を減らしたり、下半身の冷えも避けた方がよいです。

これらの状態は腎臓機能の障害や生活の質に影響を与える可能性があります。適切な医療管理と治療が必要であり、早期の診断が重要です。
薬の治療には主に2種類あり、膀胱全体を緩める薬(β3刺激薬)と膀胱の勝手な収縮を抑える薬(抗コリン薬)がありどちらかを使うまたは改善なければ療法使うということもあります。さらに薬の治療でも症状が改善しない場合には膀胱内ボトックス注入療法というのがあります。顔のしわをとるのに使われる薬として知られているボトックス(ボツリヌス菌のタンパク)ですが、筋肉の緊張を緩める作用があります。これを膀胱鏡で見ながら膀胱内の筋肉にまんべんなく注射することで膀胱がゆるんで過活動膀胱がおさまるというのがつかえます。膀胱の筋肉に直接注射しますので効果が期待できます。薬の治療で治りにくい場合に適応となります。

膀胱憩室

膀胱憩室は、膀胱の一部が膀胱の外側に突出した袋状の構造で、通常は膀胱内壁の筋肉が弱まり、圧力で膨れ上がります。主な症状には頻尿や尿失禁があり、膀胱憩室が炎症を起こすこともあります。特に前立腺肥大が強い場合、残尿が多いために膀胱内圧が常に高い状態に保たれるため、膀胱憩室ができやすいです。診断にはエコーや膀胱鏡検査が必要で、症状が軽度の場合は治療が不要かもしれませんが、重度の場合は薬物療法や手術が考慮されます。良性の状態ではありますが、症状が深刻な場合はお早めにご相談ください。

男性更年期障害(LOH症候群)

男性更年期障害は、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされる症状の総称で、LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)とも呼ばれています。女性が更年期に入ると女性ホルモンが急速に低下し、更年期障害が起こるのはよく知られていますが、同様に男性もテストステロンの低下によってさまざまな症状が現れることが知られています。LOH症候群の診断は通常50~60歳代の男性に多いですが、40歳代でも診断されることがあります。疑われる方は一度検査を受けてみることがおすすめです。

詳しくはこちら

性感染症

性感染症

性感染症(STI)は性行為を通じて感染するさまざまな疾患の総称です。性的接触によって体内に細菌、ウイルス、真菌などが侵入し感染症を引き起こします。代表的な性感染症にはクラミジア感染症、淋菌感染症、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、梅毒、HIV感染症などがあります。
性感染症は無症状のことが多いため、感染の確認が遅れることがあり、合併症のリスクが高まります。感染が進行すると、不妊症や他の健康問題のリスクが増加します。
感染が確認された場合、パートナーにも知らせ、互いの健康を守るために適切な検査と治療を受けることが大切です。

詳しくはこちら

包茎

包茎

包茎は、男性の陰茎で、勃起時に亀頭が露出しきらない状態を指します。基本的に男児の場合、生まれつき包茎の状態になっていますが第二次性徴の思春期に陰茎や亀頭が大きくなるにつれて亀頭包皮が反転して改善されることが多いですが包皮に余剰が多い場合には包皮が亀頭を覆ったままの場合(仮性包茎)や狭窄部がある場合には包皮が反転できない場合(真性包茎)があります。後天的にできる包茎としては、炎症や感染症によって包皮が亀頭から引き離されないまま残る場合があります。
包茎自体は病気や異常ではなく、性行為や日常生活に大きな問題はありません。ただし、一部の人は外見や衛生の観点から包茎手術を選択することがあります。諸外国においては宗教的、文化的な理由から小児期に割礼(包茎手術)が行われている地域がありますが、日本においては割礼は一般的ではありません。手術は様々な種類があり、医師との相談が重要です。包茎手術は個人の選択によるものであり、治療の必要性は人それぞれです。

詳しくはこちら

泌尿器検査

尿検査

尿検査

尿を採取し、その成分を調べる検査です。尿中に含まれるタンパク質や糖の有無を確認するだけでなく、顕微鏡観察を通じて赤血球や白血球、細菌の存在を評価します。これにより、腎臓や膀胱、尿路の異常や感染を検出できます。尿検査は一般健康診断から尿路感染症の診断に広く使用されます。当院ではSiemens社の最新の尿分析装置を備えており少量の尿を用いて短時間で精密な分析が可能です(写真入れる)

超音波検査

超音波を用いて身体の内部組織を可視化する検査です。痛みや不快感が伴わず、被ばくの心配もありません。泌尿器科では、膀胱、腎臓、前立腺、精巣などの臓器や組織の形状、大きさ、異常を評価するために利用されます。安全性が高いため、複数回の検査が必要な場合にも適しています。

膀胱鏡

膀胱鏡は細い内視鏡を尿道に挿入し、膀胱の粘膜を直接観察する検査です。血尿の原因特定や膀胱がんの診断に使用されます。膀胱癌の術後のフォローとしても良く用いられています。医師は内視鏡を操作して異常を確認し、必要に応じて生検を行うことがあります。この検査は精密な診断に役立ちます。当院ではやわらかい軟性鏡を用いて検査を行いますので男性でも尿道への痛みが少なく短時間で(5分程度)可能な検査です。(尿道内に事前に潤滑ゼリーを使って検査を行います)

尿流測定検査

専用のトイレに計測機器が内蔵されており、患者さんはそのトイレで尿を排泄します。尿の勢いや排尿にかかる時間などが計測され、泌尿器の機能を評価します。立ち姿勢でも座り姿勢でも通常の排尿をするだけで測定できて、患者さんに負担がかかりません。年齢と共に、特に男性は前立腺肥大症の影響で尿の勢いが悪くなっていきます。尿の勢いを定量的にグラフで評価することで前立腺肥大症の症状の重症度を判定することができます。膀胱内に尿があまり溜まっていない状態で検査すると正確な評価ができませんので、この尿流測定検査を行う場合には水をたくさんのんで膀胱内に尿を可能な限り溜めていただく必要があります。検査をする場合には1時間ほど前から水分摂取して排尿を我慢して準備します。