TOPへ

ブログ

あなたがのんでいるサプリは大丈夫?気づいた時には「透析」を避けるために

薬剤性の腎機能障害とは、サプリメントも含めた薬剤の投与により、新たに発症した腎障害の事を指します。腎障害の起きる原因として
①中毒性腎障害(薬の量が多くて腎に負担がかかる
②アレルギー性の急性間質性腎炎(アレルギー反応
③薬による電解質異常や腎血流減少による間接的な毒性
などがあります。
さらには、腎臓のダメージを受ける場所によってい
1⃣糸球体障害 2⃣尿細管障害 3⃣腎の間質障害 4⃣腎血管障害
で分類することもできます。https://cdn.jsn.or.jp/academicinfo/report/CKD-guideline2016.pdf

薬剤性の腎機能障害は薬を飲み始めたあとから腎機能障害がでる状態ですので、一見わかりやすく、診断しやすいように見えます。ただ現実には軽度の腎障害では症状がでることはまずないため、なかなか早期に発見しにくいです。よっぽど症状が悪化しないと発覚しないという問題点があります。気づいた時には末期腎不全になっており、そのまま透析になったり、腎移植手術を受けたというような方を私も拝見したことがあります。
さらには糖尿病や動脈硬化などさまざまな病気をお持ちの高齢者や、もともと腎機能が低下している方の場合には薬やサプリメントのせいで腎障害が起きているのか、もともとのご病気が悪化しているせいなのか分かりにくいこともしばしばあります。そのような患者さんはもともとたくさん薬を飲んでいることがありますので、どの薬が腎障害を起こしているのか特定することも難しくなります。

腎障害をおこす薬剤として特徴的なものを挙げてみたいと思います。

①ロキソニン:25.1%
急性尿細管壊死や、アレルギー性の急性尿細管間質性腎炎を起こします。腎血流が悪くなり、急性腎不全を起こすことがあります。薬を飲んだ後の尿量の減少には注意が必要です。

ロキソニンは解熱薬として用いたり、痛み止めとしても使えるため日常的によく使われているとても便利な薬かと思います。一方で連日のように内服していると腎障害がおきるリスクが上がってきますので要注意です。特に高齢者やもともと腎機能が低下しているような場合には必要最小限の使用にとどめた方がよいです。
他にも喘息などのアレルギー反応を誘発する可能性があるため、基本的には解熱鎮痛薬として最初に使われているのはカロナール(アセトアミノフェン)ですが、ロキソニンが急性腎不全を起こすのに対して、カロナールも長期的に使用していると慢性的な腎乳頭壊死、慢性間質性腎炎をおこし慢性腎不全になるリスクがあります。ですので解熱鎮痛薬の使用は必要最低限にとどめましょう


②抗生剤:17.5%
ペニシリンやアミノグリコシドはアレルギー性の急性尿細管間質性腎炎や急性尿細管壊死を引き起こすことがあります。

ロキソニンなどの解熱鎮痛薬の次に腎障害を起こしやすいものとして抗生剤があげられます。抗生剤は熱がでたときなど感染症の時に用いる薬ですので日常的によく使われる薬になります。健康な人が抗生剤を使用しても多くの場合問題にはなりませんが、糖尿病や高血圧、動脈硬化などいろんな病気をお持ちの高齢者が使う場合には注意が必要になります。特にもともと腎機能が低下しているような場合には抗生剤の投与量は腎機能に応じて減量する必要があります。抗生剤も漫然と内服するのではなく、必要最低限にとどめることが大切です。


その他にも抗がん剤 (18%)、CTの造影剤 (5.7%)、胃薬、血圧の薬、抗リウマチ薬、漢方薬やサプリメントも腎障害を引き起こす可能性があります。
漢方薬は副作用が少ないので気軽に使いやすいというイメージがあるかもしれませんが、通常の薬と同様に腎障害や電解質異常などおこすことがありますので注意が必要です。
最近サプリメントによる腎障害が話題になっていますが、プリメントの中にどのような成分が入っているのか?、起こりうる副作用は何か?をよく確認する必要があります。

足のむくみやだるさ、食欲不振などの症状がある場合は、現在服用している薬やサプリメントのチェックと、現在の腎機能の評価(尿検査、採血)をすることをお勧めします。   

 

https://www.azabujuban-clinic.jp/