50代からのくりかえす膀胱炎、腟の乾燥、違和感はGSMかもしれません
今回は閉経に関連する尿路生殖器症候群、通称GSMについて説明したいとおもいます。GSMは程度の差はありますが、閉経後の女性ほぼすべての方に出てくる症状で、エストロゲンの減少が骨盤底の臓器つまり尿路や腟や外陰部の皮膚にさまざまな悪影響を及ぼします症候群です。からだのエストロゲンレベルが低下すると、膣や外陰部の組織が薄くなり、乾燥し、弾力性を失います。これがGSMの症状を引き起こします。
具体的にどんな症状があるのか?
まず尿路生殖器症候群という名前の通り、尿路と生殖器に症状がでます。場所としては近いので重なることが多いですが、生殖器の症状としては、腟が乾燥する、焼ける感じ、刺激感などがあります。次に性交渉に関連するものとしては、腟の潤いが少なくなる、性交時の不快感や痛みなど性機能に障害をもたらします。
尿路の症状としては、尿意切迫感、排尿痛、くりかえす膀胱炎があります。どの症状が強くでてくるかはそれぞれの女性によって違うことが多いです
では、GSMの治療法は何があるのでしょうか?
まず、最も一般的な治療法は、局所的なエストロゲン療法です。これは、膣内にエストロゲンの薬をいれて直接膣から吸収させることで、膣の乾燥や不快感を軽減します。さらに、飲み薬で全身的なホルモン補充療法というのもありますが、これは全身に影響がでるので腟剤でうまくコントロールできないなどの限られた場合だけにしたほうが良いです。
さらには、男性ホルモンの前駆体であるDHEAという薬剤を使う場合があります。日本ではまだ使えませんが、腟内にいれることでGSMの症状が改善するとされています。女性に対して男性ホルモンを補充するというのはすこし違和感があるかもしれませんが生殖器の機能はとくに男性ホルモンと女性ホルモンの両方が作用してバランスをとっていますので、男性ホルモンを補充するのも効果的とされています。
ホルモン療法以外の治療もあります。たとえば、膣内に保湿剤や潤滑剤をいれるという方法があります。これは簡単にできる治療ですね。ほかにも骨盤底筋運動や生活スタイルの改善が有効な場合もあります。
骨盤底筋運動というのは骨盤の筋トレであり、尿漏れの治療としてよくやられていますが、GSMの症状にも効果的といわれています。
生活スタイルの改善とは具体的になにか?
たばこをやめるとか、カフェインを避けるとか、肥満な場合は痩せるとか。外陰部を洗う時に使う石鹸を刺激の少ないものにするなどがあります。その他には定期的な性交渉が膣の健康には良いとされています。実際の性交渉じゃなく、自慰行為でもよいとされています。
GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)という言葉はあまり聞き慣れないとおもいますが、最近だんだん知られるようになってきていて実は結構な割合で閉経後の女性が経験するものなんです。エストロゲンが低下すれば多かれ少なかれ生じる症状ですね。自然な経過の一部なので、もし症状がつよくて日常生活に困るという場合には適切な治療とケアを受けたほうがよいとおもいます。